「ん…?」 さっきまで つまんない、とか 面白く無い、とか大騒ぎしていたアルルが 大人しくなる。 ふ、と見ると 案の定 「……寝てんじゃねぇよ」 俺の肩に 凭れ掛けながら、すぅすぅと 気持ち良さそうに 寝息立ててやがる。 読んでいた魔道書を伏せ、そ、と抱き締める。 寝ているからこそ 出来る事。 肩に顔を埋めながら呟く。 「ったく、そんな 無防備によ……少しは 気付け、っての」 俺の気持ちに 気付いたら、こんな風に安らかな寝顔なんて 見せてはくれなくなってしまうだろうが。 でも。 そんな 警戒心無く寝顔見せられるのも 辛いものなんだがな。 劣情は 心に閉じ込めて。 アルルを ソファに横たえてやる。俺の脚を枕代わりに、マントを布団代わりに貸してやりながら。 ついでに。 「貸し賃は これで良し、に しておいてやるよ」 そ、と 触れるだけのキスを一つ。 そのまま 頭を撫でながら 魔導書に戻る。 制約された中で、俺が最大限に出来る全て――
*朱桜より・・・* |